行儀悪く寝タバコをふかしながら、少佐は寝起きの悪い恋人の巻き毛を乱暴にかき分けた。「おまえ、またうなされとったぞ。まだ夢に見るのか?」
伯爵はかすかに眉をあげて少佐を見た。少佐は銜えた煙草から手を放し、伯爵の胸の傷を指でなぞった。
「この傷も、だいぶ消えてきたな。」
「ルイも同じことを言っていたよ。」
少佐は手を止めた。
「何を言っとるんだ。」
「ほかのどこから知るよりも、私本人から聞くのが一番いいと思うから言っておくけど、私とルイは続いているのさ。」
ここから話をどう進めればいいのでしょう?コメディの方に進めればこうなります。会話だけで、まだ叙述文を埋めていません。
「ひょっとして『この俺がコキュか…』とか思ってるのかい?言っとくけど、ルイのほうが先なんだよ。」
「…」
「きみいったい、何年この私を待たせたと思っているんだい?」
「……」
がんばれクラウス!負けるなクラウス!
「『シリウス』の時、ルイはきみと私ののことを誤解してて、私はずっと付けまわされていたんだよ。ホテルでうたたねをしていて、目が覚めたら目の前に座っていたり、夜道で後ろ手を取られて放してもらえなかったり、すごくスリリングだった。ぞくぞくしたね。きみに追い回されるのとは全然違ってた。きみに追い回されるのって、なんだかもっと陽性の楽しみなんだよね。任務中のきみには下心がまったく無いせいかな。」
「で、『シリウス』の後に、ルイがその下心まるだしで近づいてきたのか。」
「わかってないねえ、トーヘンボク。ルイが気を引きたいのはきみだよ。」
「……固いと思って立っとった地面が、ぐらぐら崩れてゆくような感覚だ。」
「固いって、私が君に捧げる貞操のこと?」
「少しは黙っとれ!」
「ははは、しばらくはコペルニクス的転回を楽しんでくれたまえ。」
または、ルイとのシーンはややまじめに、例えばこんな風に。
「フランス語を話すおまえは新鮮だ。そんなふうに話せるとは思わなかった。」
「きみにテュトワイエの許可を出した覚えはないよ。不愉快だから英語に戻させてもらおう。」
「少佐とドイツ語で話すときはどうしてるんだ?」
「…duを使うことはあまりないな。彼がドイツ語で話すときは、部下の前で私と距離を置きたいときだから。」
「De fait.(なるほど)」
「それでも冷たく『ヘル・グローリア』と呼ばれるとぞくぞくするけどね。それで、なぜ私に付きまとうんだい?」
Qはコメディ向きだけど、私の「ルイ」では無理かな。ひどいサディストだし。妄想は尽きることがありません。
「トロイの木馬」および、「シリウス」でQが伯爵を付回すあたりは、あまりにも腐ってるのでわざと余計な邪推が起きないような絵柄で描いているのかも・・・とまで邪推に邪推を重ねてしまいます。
暗闇の中でQが伯爵の手首をつかみ、後ろ手にするシーンなぞは、往年の絵であればご飯が大盛り三杯食べられたでしょう…。そのなかで乙女(30年前は)のハートをわしづかみにしたのは、うたた寝をする伯爵の向かいにQが座るシーン。あそこだけはコマ割りや伯爵の目の描きかたに、作者のサービスを感じますね。邪推ですかそうですか。
Qさんとかサバーハと伯爵の組み合わせはひじょーに楽しいです。
返信削除(もちろん少佐という存在があるから面白いのですが・・・)
ドキドキ。
私がフィクを書いていたときは、伯爵しか目に入らない幼馴染のオリジナルキャラクターを登場させていました。なんだか、間男?みたいなのが好き。
どっちが間男を持っちゃうかはテーマですよねー
返信削除伯爵?少佐?
私のルイの場合は、少佐の気を引きたくて伯爵に手を出すという複合型。
に、できれば持って行きたい。という野望。