このサイトについて

このサイトについて: 私自身が30年来のファンであり、また海外のslash fandomの一角で80年代から現在に至るまでカルト的な人気を擁する、「エロイカより愛をこめて(From Eroica with Love)」を題材とした、英語での厖大な二次創作群を紹介・翻訳しています。サイト管理者には原作者の著作権を侵害する意図は全く無く、またこのサイトにより金銭的な利益を享受するものでもありません。「エロイカより愛をこめて」は青池保子氏による漫画作品であり、著作権は青池氏に帰属します。私たちファンはおのおのが、登場人物たちが自分のものだったらいいなと夢想していますが、残念ながらそうではありません。ただ美しい夢をお借りしているのみです。

注意事項:
 原作の内容を大幅に逸脱し、男性間の性愛を主題にした明らかに性的な内容を含みます。不快感を覚える方は画面をお閉じ頂けるよう、お願い申し上げます。

2011/08/06

エロイカ海外ファンダム起源覚え書き

   
   
私がエロイカの海外フィクの存在を知ったのはファンダム外の一般人としては多分割と早くて、90年代終わりごろ。住所不定無職の生活を終了し、97年に定住してネットを始めていくらもたたないうちに知ったと記憶する。但しそのころはメーリングリストの時代で、参加するには自作フィク(もちろん英語)を一作持参することというハードルの高さで、あっさり諦めたことを覚えています。だからこのときは存在を知っただけで一作も読んでいません。どういう内容かは理解していましたが。

その後2003年にネットに公開され始めているのを見つけて少し読んだのですが、そのころ私の愛情はまだ硬派な少佐に傾いていて、伯爵とのラブラブについていけずに挫折。(スタトレとかセサミストリートのアーニーとバートなどの方をちょろっと読みました。) 

そして記録しておこう2011年6月、10年ぶりぐらいにできた時間の余裕にぽこっと入り込んできたのが、ひさしぶりに読み直したエロイカの伯爵。伯爵!伯爵!伯爵!!! それまで少佐派だったのに。強気で体育会系エピキュリアンな伯爵の魅力に、突然撃ち抜かれたのです。腐女子は数百年前に卒業したのではなかったか…(っていうか、当時「腐女子」なんてタームは無かったです)。そして正々堂々と貴腐人を標榜できる資格アリのこの歳で、伯爵萌えのビッグウェーブとともにやってきたのが、少佐受け全面解禁でリバーシブル上等というパラダイムシフト(何を言っているのかもはや自分でもわかりません)。それで、海外フィクを集中的に読み直すことにしました。結果はドはまり。現在の惨状に至ります。

ここまでが前振り。ここからがタイトルの内容です。


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その90年代に、北米でのエロイカファンダムの存在を知ったとき、なんでこの人たちこんなもん知ってるの!という強烈な驚きを感じたのですが、つい最近になってようやくその経緯の一旦を知りました。どうやらこれが、エロイカが海外のスラッシュファンダムでカルト的な人気を確立する至った発端のようです。

エロイカより愛をこめての英語版スキャンレーションについて
「From Eroica with Love」は、成人向けのスラッシュアンソロジーであり、英語に翻訳された日本の漫画である。 これらの、英語に翻訳されたマンガとしては最も初期のシリーズは、Lily Fulfordとその他のファンにより、"Kx."というグループ名のもとで製作された。これらのごく初期のスキャンレーションは、グループ名のクレジットなしでネットにあがっている。現在のスキャンレーションとちがって、各ページがコピーされ、翻訳は手作業で貼り付けられた後に、もう一度コピーされたも のである。
リンク先では、上記の説明と、1980年代から1990年代前半にかけて流通していたスキャンレーションの表紙を見ることができます。日本のコピー誌みたいな感じですね。
 

では、Lily Fulfordとは、どういった人物なのでしょう?
Lily Fulfordは2007年に物故した、"The Professionals"(1977-1983のイギリスのテレビドラマ)ファンダムコミュニティでよく知られた人物である。アメリカ版のThe Professionalsファンダムにおけるサポーターでありライターでもあった彼女は、ファンの月例集会のためにしばしばLAの自宅を開放し(参加者は50人を越えた)、またEscapade(スラッシュに特化したコンベンション)における創作ワークショップの場を長年にわたって提供し続けた。

1980年代に、彼女は趣味を同じくする他のファンたちと共同で、初期のansub-titles(後にスキャンレーションと呼ばれるもの)の製作を開始した。当時の技術では、それはスキャンではなく紙のコピーを使用して行われた。最初の15部の「エロイカより愛を込めて」英語版が生まれたのはこのときで、これは fansubs(ファンによる非公式翻訳版)の活動がファンダムにおいて一般的に知られる以前の出来事である。
これらのスキャンレーションは、公式英語版がリリースされた2008年ごろまで流通していた。



あるファンダムにおいてパワフルな活動をしていた人が、もうひとつのファンダムを生み出すきっかけを作り出したというのは、 わくわくするような歴史です。私は日本と欧米においてやおいとスラッシュが同時発生し、平行進化を遂げた現象についていまさらながら大変興味深く思っており、時間があれば関連の文献を読み込んで、老後のお楽しみとしてよくよく考えてみたいと思っています。

エロイカのスキャンレーション版の英語は公式版とちがってこなれていないという批評があり、またそのやや偏った訳が海外ファンダムにおける少佐像を決定したのではないかという優れた分析があります。推測ですが、Lily Fulfordの最初のプロジェクトには翻訳担当として在米日本人が関わっていたのでしょう。彼女はもちろんエロイカファンであり、そしておそらくは最初にLily Fulfordにエロイカを提示した人物なのではないでしょうか。いったい誰が…。ファンダムの古株に聞きまくればもうすこし詳しい事情がわかるのかもしれませんが、謎は謎のままにしておくほうが魅力的なのかもしれません。歴史学はセオリーですが、歴史は愛とファンタジーです。そして彼女には満腔の感謝の言葉を!

スキャンレーションは、ネットで公開しているところが、私が知る限りでは2箇所あります。どうしても興味のある方は探してみましょう。 公式版で出ている以降の分も、また出るのかもしれません。スキャンレーションは法律上は完全にクロな存在ですが、北米の出版社が一度は公式版を出版するに至ったのには、こういったものがファンダムに流通していたという事実の後押しがあったということは、やはり否めない要因だろうと思うのです。公式版の停止は本当に残念です。私は先日やっと揃えました。(最終巻が初版ミスプリント版なので買い足しを考えていますが・・・。台湾版も購入予定!)


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次回はかわいい系のアップです・・・。最後の行がほんと、大好き。でもちょっと休憩させてください。スコティッシュキルトの少佐に全精力を吸い取られた・・・





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