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このサイトについて: 私自身が30年来のファンであり、また海外のslash fandomの一角で80年代から現在に至るまでカルト的な人気を擁する、「エロイカより愛をこめて(From Eroica with Love)」を題材とした、英語での厖大な二次創作群を紹介・翻訳しています。サイト管理者には原作者の著作権を侵害する意図は全く無く、またこのサイトにより金銭的な利益を享受するものでもありません。「エロイカより愛をこめて」は青池保子氏による漫画作品であり、著作権は青池氏に帰属します。私たちファンはおのおのが、登場人物たちが自分のものだったらいいなと夢想していますが、残念ながらそうではありません。ただ美しい夢をお借りしているのみです。

注意事項:
 原作の内容を大幅に逸脱し、男性間の性愛を主題にした明らかに性的な内容を含みます。不快感を覚える方は画面をお閉じ頂けるよう、お願い申し上げます。

2012/02/20

1. 少佐





任務は終了した。ボンへの到着は夜中便だ。執事の待つ郊外の屋敷へ帰るか、市内に借りているフラットに帰るか、少佐は少し迷った。執事との会話が少し億劫 な気がした。今夜はフラットで眠ろう。明日は早めに出勤して、オフィスで報告書を仕上げねばならない。空港に置きっぱなしの車を拾い、少佐はフラットへ向かうことにした。


少佐のフラットには、広い居間と台所のほかにはベッドルームと書斎と書庫しかなかった。起床するなりきちんと整えられるベッドのある寝室と、整理された本と資料 でいっぱいの書斎。客用のベッドルームからはベッドを搬出し、部屋中に本棚を作りつけて書庫にしてしまっていた。客が来ることがあるとも思えなかったからだ。居間には大型のテレビがあり、どうしても観戦 に熱が入りそうなサッカーの試合は、使用人に気まずいので屋敷ではなくこの部屋で見ることにしていた。例えば先のワールドカップのドイツ・イギリス戦とか。就寝前のワークアウトもここで行う。自分のためだけ のフラットは、神経を使う仕事している少佐にとっては羽根休めのための巣であり、隠れ家だった。合鍵を渡してしまう前までは。


ドアを開けると、かすかに予期していた通り、居間のソファで巻き毛の金髪がうたたねをしていた。伯爵はドアの開く音で目を覚まし、半身を起こして少佐に話しかけた。


「やあ、おかえり。お邪魔しているよ。」


「おまえ、盗品を俺の部屋に持ち込むな。俺は公務員だ。」


部屋の明かりをつけ、鼻を鳴らした。食料の匂いと、微かな薔薇の香り。どうやら俺がいない間、しばらくここで過ごしていやがったな。


「戦利品はボーナム君とジェイムズ君がロンドンに運んで行ったさ。しばらくは私の休暇期間だ。」


「そりゃよかったな。だが俺にとっては休暇でも何でもない。今夜はベッドに入ってくるなよ。俺には睡眠が必要だ。」


「残酷なおあずけだな、ダーリン。」


「その呼び方はやめろ。癖になって外で出ると困る。俺は軍職をあきらめたくない。」


それは真面目な話だった。余計な詮索と軋轢は避けたい。避けられるものならば。部下の中にはどうやらもう気づいているやつもいる。


「Yes, Sir! 食事はどうだい?軽いものならすぐ用意できるよ。それとワインと。」


「いらん。食ってる間におまえは俺をたぶらかすに決まっとる。食い物に媚薬でも入ってないとも限らん。」


「ふふ、ばれたか。」


「くだらんことを言ってないでさっさと寝てろ。明日は…、なるべく早く帰る。」


「期待してるよ。ダー…、少佐。おやすみ。」




 * * *


少佐には、どうせなにをどう言っても伯爵がベッドに忍んでくるのを阻止できないがわかっていた。だから一晩中、体のあちこちにキスをされているのも夢うつつで 知っていた。唇よりも巻き毛がくすぐったかったが、悪い気分ではなかったのでそのままにしていた。肝心のところに手を出してきたら怒鳴りつけようと夢の中で身構えていたが、驚いたことに巻き毛にもそれなりの分別があるようだった。それで、心配は棚上げにして泥のように眠った。夢の中でも微かに薔薇の香りがした。


 * * * 


翌朝、玄関のドアが閉まる音で目を覚ますと、出勤する準備をするにはちょうどいい時間だった。やや怪訝な気分でベッドを降りて寝室を出ると、ダイニングのテー ブルに簡単な朝食が用意してあった。なんだこれは。あいつ、なんぞ疚しいことでもあるのか。





ええ、なにか疚しいことがあるんです。

4 件のコメント:

  1. 突かれきっちゃって、いやいや疲れきっちゃってぐっすり眠りたい恋人の邪魔にならない程度の優しい愛撫をしているシーンって、がっつり本番よりもエロだと思います。純情で初心な僕には刺激が強すぎましたがなんとか読みましたハアハア
     本当に寝かせてもらいたい時、相手にはそれがちゃあんと分かってて、それで安心してぐっすり眠る少佐に伯爵を信頼しちゃっている心の弱さというのとは違いますがうーん、なんていったらいいのかな、身内に対する無条件の信頼に近いものをかんじて胸キュンです。

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  2. はじめまして!
    純情で初心な村雨公主さんということは、いつもいらっしゃってる村雨公主さんとは別人ですね?
    こんごともよろしくおねがいしまーすw

    そーなんすよ。無条件に信頼してぐーすか寝てる少佐をほっといて、
    伯爵ったらこれからQと浮気にいくのさ。そーゆー話なの、コレ。てへっ。

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    1. えっまあっそんなハレンチな同姓同名の人がいるんですねショックだわー

      Qと浮気…

      なんかQってものすごく玄人というか、少佐にはとうてい不可能な複雑でめくるめく深いエクスタシーを味わえるプロ並の寝技駆使して伯爵を喜ばせてそうだなー。
      でもそういうの愛情とはちがうって感じてそうな伯爵は浮気って考えてないかも。遊びというか、プレイかもなー。

      はっっ。僕純情で初心な村雨公主でちゅよー!!!

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  3. 純情で初心だが妄想の翼が力強く羽ばたく村雨公主さまこんばんは。

    Qの顔を思い浮かべると、ついつい「充実した間男ライフ」という言葉が頭に浮かびます。
    ありとあらゆる場所で、Qってそういう役回りみたいね。おいしいやつめ。
    私Qは屈折した少佐スキーで、少佐の気をひくためだけに伯爵と寝ています。
    とはいえ、美味しい物は美味しいので、じっくり美味しく頂いているという設定です。

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