このサイトについて

このサイトについて: 私自身が30年来のファンであり、また海外のslash fandomの一角で80年代から現在に至るまでカルト的な人気を擁する、「エロイカより愛をこめて(From Eroica with Love)」を題材とした、英語での厖大な二次創作群を紹介・翻訳しています。サイト管理者には原作者の著作権を侵害する意図は全く無く、またこのサイトにより金銭的な利益を享受するものでもありません。「エロイカより愛をこめて」は青池保子氏による漫画作品であり、著作権は青池氏に帰属します。私たちファンはおのおのが、登場人物たちが自分のものだったらいいなと夢想していますが、残念ながらそうではありません。ただ美しい夢をお借りしているのみです。

注意事項:
 原作の内容を大幅に逸脱し、男性間の性愛を主題にした明らかに性的な内容を含みます。不快感を覚える方は画面をお閉じ頂けるよう、お願い申し上げます。

2011/09/20

翻訳のお部屋003

ただいま翻訳中のものに行き詰ったので一休み。

先日訳した"A Price Too High"後編には、"beg"という動詞が2400語中、実に10箇所も出てきました。私は英語力には大きな難があるので、正確な訳はできません。日本語として読みやすい意訳を心がけることになります。どう訳し分けましょうか。以下が一覧です。


1) How long can you go before you beg for it?
  (さあ、赦しを請うまで、あとどのくらい我慢できるんだい?)

2) You want me to beg?
  (おれに赦しを請えとでも言うつもりか?) 

3) The thought of begging for anything still went against the grain with Iron Klaus.
  (赦しやら哀れみやらを請うなどというのは、いかなる状況下でも鉄のクラウスにはありえないことだった。

4) Yes. I want you to beg.
  (そうさ。 私に赦しを請うんだよ。もう許してくれって、おねだりするのさ。)

5)  “I’m gonna make you beg,
  (きみをめちゃくちゃにしてやるよ、

6) “Iron Klaus does not beg."
  (鉄のクラウスは赦しなど請わん。

7)  After several minutes, Dorian had his wish as Klaus begged for release.
  (数分後に、ドリアンは望みのものを得た。クラウスは赦しを請うた。

8) I thought Iron Klaus doesn’t beg,
  (鉄のクラウスには、敵の哀れみなど不要かと思っていたよ。)  

9) Now I’m gonna make you beg!”
  (今度はおまえをひいひい言わせてやる番だぞ!

10) Fine. I won’t make you beg too long, then.
  (いいだろう。 意地悪はほどほどにしてやるさ。ほんの少しにな。)



最初に、「許しを請う」と「おねだりする」のうち、どちらをメインの訳に採用するか考えました。 ほんとは1)を「おねだり」にしたかったのです。でもそうすると2)との繋がりがどうしてもうまくゆかなかったので、結局「許しを請う」が採用になりました。「請う」と「乞う」も迷ったのですが、そして「乞う」のえろえろな字面も捨てがたかったのですが、ここは上品に「請う」としておきました。「赦し」と「許し」については、4)で両方を使っています。

そればかりでは単調なので、5)、9)、10) では意訳を試みています。8)も意訳ですね。

7)の"for release"を訳の中に入れられなかったのが心残りなのです。入れるとどうしても冗長になってしまうので、なくなく諦めました。しかし"for release"は重要なのですよ!"release"してもらって何する気だったのクラウス君!ってまあ、答えは数行後に出ているわけですが。


かくも、 "beg"という単純な動詞はこのお話の中で重要な働きをしています。信頼関係に基づいた支配と服従の遊戯を、象徴するような単語だからでしょう。そしてその遊戯は、ヘテロであれホモであれ、どんなペアでも双方向に弄べる遊戯というわけではないように思います。私が日本産のこういった読み物の中ではリバにしか興味がなく、そもそも日本産よりはslashが好きなのは、そこに私のファンタジーがあるからなのだと思います。




1 件のコメント:

  1. kisaragi fujiko2011/09/21 7:03:00

    こんにちはー
    私は情けないことに英語力が衰退しているので、日本製とSLASHというのの違いがわからないのですがちょっと昔の話をひとつ。
    というか外国語は全部SLASHだと思ってましたーとほほ。

    もしかしてと思ったのですが海外のSLASHというのを書いているかたがたは結構、しょうわ(LOVE)の方々では?!

    ー日本の外人もの作品の初期ー
    私が日本製同性愛もので初めて読んだのは、30-40年くらい前のZEPの同人誌だったのですが(超ハードゲイな美神達の黄泉とかレモンソング・・どこかに読んだ人がいたらいいなぁ)そのころはまだ801なんて言葉はありませんでしたがひたすらに過激でしかし愛に溢れていました。
    出てくる人たちが人たちだけにリバーシブルが普通だった。(外人だからか?!)
    そのあとのQEENやJAPANもねー。
    そのころの海外の人はどうだったのかな。
    ちなみに美神はロバート・プラントも読んだそうです。

    いわゆるコミケってのもあったそうで、QUEENやZEPのファンの方々がRENEっていう原宿のドレスショップのずるずるしたレースの服を着て参加していたそうですよ。
    私は子供だったので参加してませんけど。
    そのかたがたもイブやエロイカの1巻目くらいまでは読んでいたかもしれませんね。いわゆるお耽美な世界だから。青○先生も、「アラン」にイラストを寄せられていましたよん。

    それから、いわゆるアニメ時代が始まり、海外ロック系は衰退したのですが、私の漫画やロックの歴史はそこで止まっております。

    ちょっと関係ないけどしょうわ(LOVE)の時代の話でした。

    返信削除