このサイトについて

このサイトについて: 私自身が30年来のファンであり、また海外のslash fandomの一角で80年代から現在に至るまでカルト的な人気を擁する、「エロイカより愛をこめて(From Eroica with Love)」を題材とした、英語での厖大な二次創作群を紹介・翻訳しています。サイト管理者には原作者の著作権を侵害する意図は全く無く、またこのサイトにより金銭的な利益を享受するものでもありません。「エロイカより愛をこめて」は青池保子氏による漫画作品であり、著作権は青池氏に帰属します。私たちファンはおのおのが、登場人物たちが自分のものだったらいいなと夢想していますが、残念ながらそうではありません。ただ美しい夢をお借りしているのみです。

注意事項:
 原作の内容を大幅に逸脱し、男性間の性愛を主題にした明らかに性的な内容を含みます。不快感を覚える方は画面をお閉じ頂けるよう、お願い申し上げます。

2011/07/06

「隠れ家」を書いた経緯

  
あの二人の会話なら、いくらでも脳内から湧いて出てきそうです。例えば、あの後の会話はこうなります。
「わっ、きみ、シャンパングラスに灰を落とすのはやめてくれよ!」

「吸うなら吸うで、灰皿ぐらい用意しておけ。」

「吸ってないよ。その煙草はきみのことを想いながらひとりで・・・するために・・・」

「!!!」

「冗談だよ。そこまで不自由してないよ。で、昼食はどうする?」

そこで二人は、英国風に昼食を軽くして夕食を重くするか、ドイツ風に昼食に熱いものを食べて夕食を冷たくするか、まじめに意見をすり合わせた。結論は「食事は適当に済ませて、別のことに時間を割こう」となった。

とはいえ、いくらなんでもずっとというわけにも行かないので、暇つぶしにチェスをしてみたところ、伯爵は少佐よりチェスが強かったりする。というか、ものすごく強い。昔、全英ランキング4位の男性と付き合ってたときに徹底的に仕込まれてて、まあ仕込まれたのはチェスだけではなくて…
 
雪がやんだので外にしつらえてある射撃場に銃の練習に行く。伯爵、少佐にボロカスに言われる。

二人で厨房に立つ。実は伯爵はけっこう料理が好き。(後片付けは生まれてこのかたやったことがない。) Jamie Oliverは見た目はともかく、しゃべり方がキュートなのでファン。自慢するつもりで少佐に作って見せたら、実は少佐も同レベルには包丁を握れるのでややショック。実は軍学校で仕込まれてた。
 
などなど。

さて、「隠れ家」を書いた原因は二つです。古い友人に海外フィクを翻訳して読ませたところ、「少佐が同性愛者っつー基本的な設定に強烈に違和感が。ノンケなのに激流に押し流されるように一線を超える」のが読みたいと言われました。そういう海外フィクもあるのですが、ちょっと性描写が激しすぎて、生の友人に送る度胸がなかったのでした。それで自分で書いてみることに。

そして、ある方の卓見に激しくインスパイアされました。

「伯爵は本当に少佐と何とかなりたいと思っているのだろうか?」

私の中の少佐に、直接そう伯爵に尋ねさせてみたら、答えはあれしかなかったわけです。それがとりあえず話の芯のひとつになりました。

もうひとつの芯は、いかに少佐に腹をくくらせるか。これには手こずりました。どうお膳立てしても、このガードの堅いイノシシくんときたら、思うように動いてくれない。そこで仕方なく正典(原作)のQを「ルイ」に仕立てて、背後のキャスティングボートとなってもらいました。それでも苦心してなんとか書き進めていたときに、私の中の伯爵が突如、決定的な一言を放ってくれたのです。

「で、どこにしまってあるんだい、その写真。 きみ、捨てられなかったんだろう?」

あとは簡単でした。そこから先は、何の支障もなく夜が明け、朝になりました。

芯がふたつあるので、二幕ものの室内劇のような仕立てにしたかったのですが、ボリューム的にやや頭でっかちです。もっとも、前半部分は私の好きな海外フィクション(およびその日本語訳)から、いろんな設定やシーンを大量に借りています。先人たちの愛に多謝!

無理やり送りつけた友人たちからは「マンガで見たい」という感想も頂いたのですが、後半の少佐って健全にもほどがある縞パジャマ(アンダーシャツ付)ですよ。少女漫画になる、これ?

二人の性格については、さほど原作からの乖離がないと自負しています。でも、全般的に初期の性格付けに近いところが多いですね。(もしかすると少佐がちょっと可愛らしすぎかな。) 日本語で書かれたファンフィクションの多くは、伯爵が時によってかなり女性的であるのが私の好みではありませんでした。私の伯爵は、気位の高いやんちゃでmassiveな男性なのです。そして海外フィクションは読み応えがあったり、趣向や技巧にうならされるものも多いものの、基本的には原作とは別物。私にとっては、全くの別腹で楽しむものです。(だから"The Three Kisses"は名作だと思う。)

若いころは少佐ひとすじだったのですが、(そのため、昔はこの二人で腐な妄想なんか思いつきもしなかった)、二人の年齢をとっくに超えた今になって読み直すと、伯爵って少佐よりずっと大人なんですよねえ。なにしろ、少佐は仕事で、伯爵は遊びだ。遊びを貫徹するって、大人にしかできないんですよ。

ともあれ、私の少佐と伯爵はこういうふうに出来上がってしまったので、あとはコメディかハードコアポルノかどっちかが書けないかなあと妄想中です。私は「少佐みじめ萌え」なので、Qに伯爵を寝取らせてやりたい。そのことについては、次のエントリで書いてみます。

0 件のコメント:

コメントを投稿